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2014年12月5日 メディアコム研究会

2014-12-16 

日時:2014年12月5日(金)13時から14時45分

場所:東アジア研究所共同研究室

参加人数:9名

 

報告者:ローレン・リチャードソン(Lauren Richardson)氏

慶應義塾大学法学研究科および同法学部非常勤講師、オーストラリア国立大学博士候補生

報告題:“Reshaping Japan-Korea Relations: Transnational Advocacy Networks and the  Politics of Redress”

 

概要:本報告は、報告者が現在執筆最終段階にある博士論文の概要を紹介するものであった。日韓関係をめぐっては従来、従軍慰安婦問題に象徴される歴史認識問題が重視され、それが双方の国内世論に結びついて両国の外交に影響をおよぼしている、という理解が主流である。これに対して報告者は二つの局面から新しい視点を提示している。一つは、外交関係を政治エリートに収斂させるのではなく、特定のイシューをめぐるトランスナショナルなアドヴォカシーのネットワークという観点から分析を試みるというものである。もう一つは、従軍慰安婦問題のみを取りあげるのではなく、戦時中に発生したそれ以外の朝鮮・韓国人が被害者となった事案に焦点をあてている。すなわち、従軍慰安婦問題、強制労働者問題、被爆者問題である。これらをめぐるトランスナリョナルなアドヴォカシーのネットワークの形成と、日韓での争点化および国際社会での争点化(の不在)を比較することで、報告者は日本政府に対する韓国被害者の救済要求運動の多元性と展開と限界を分析した。

報告に関しては、歴史問題の位置づけ、メディアの位置づけと役割、社会と国家(政府)という論理、民主化と救済要求運動の関係、国際社会での人権規範との関係、ジェンダーの位置づけなど、多様な質問とコメントが出された。115分という限られた時間ではあったが、大変有意義で活発な議論がなされた研究会であった。

なお本研究会は報告・議論ともに英語でおこなわれた。

 

文責・山本信人

2014年12月14日

 

 

 

 

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