慶應義塾大学メディアコム研究生制作のドキュメンタリーに審査員特別賞

2024-02-22

慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所(略称:メディアコム)の研究生3人が授業で制作したドキュメンタリーが経済産業省 令和5年度「福島12市町村 学生アート制作プロジェクト」の一環である「福島12市町村学生映像制作コンテスト 今と未来」で審査員特別賞を受賞しました。このコンテストは東日本大震災で避難指示等の対象となった福島県12市町村からなる浜通り地域をテーマに、福島県12市町村以外の学生が実際に地域を訪れて、ニュースで見ていた情報ではなく、実際に自分の目で見て聞いて感じた情報をもとに制作された映像作品を選考するものです。2月10日に行われた最終選考では、ドラマやドキュメンタリーなどジャンルが違うファイナリスト4作品の中から最終的な賞が決まり、研究生3人のドキュメンタリー作品「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」には審査員特別賞と賞金10万円が贈られました。

「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」から
「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」から
「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」から
「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」から
「あるけあるけ 浪江町、未来への歩み」から

この作品は2011年の東日本大震災と原発事故の後で浪江町から去って現在は別の自治体に暮らしながらで年に一度戻ってくる人や事故後に浪江町に移住してきた人など浪江町にかかわる様々な人生を描いた作品です。新しい年を迎えた初日の出を浪江にかかわる人たちが浜辺まで歩いて見つめる「あるけあるけ初日詣大会」という恒例のイベント。それをクライマックスにして交錯する様々な「思い」が浮かび上がる構成にしています。審査員から「あるけあるけ初日詣大会を通して『今と未来』を映像にすることで、飽きのこない見やすい作品になっていた。元々浪江にいた人だけではなく、震災後に移住してきた人も取材しているのがよかった」と高く評価されたことが受賞の理由になりました。

制作にかかわったのはメディアコムで研究生として学んでいる鈴木倫子さん(文学部2年)、会津万葉子さん(文学部2年)、新村健一さん(文学部2年)の3人です。2023年度秋学期のメディアコム開講授業「映像コンテンツ制作II」のドキュメンタリー制作のために年末年始を福島県の富岡町などに滞在し、集中的に取材。年明けに映像を編集して完成させました。撮影は3人全員が担当し、作品を仕上げる段階では構成とナレーションを会津さんが主に担当し、映像編集を主に鈴木さん、新村さんが両方を補佐する役割を担いました。

学生たちの受賞の弁です。

新村健一さん
「この度はこのような賞をいただき大変光栄に思っております。取材や撮影に協力してくださった全ての方に感謝申し上げます。この作品を通して、ご覧になった方たちが福島県浜通り地域に興味を持っていただけると幸いです」

会津万葉子さん
「いまだ震災の爪痕が残る町で、支え合いながら力強く生きる人たちの姿を目の当たりにしました。思うように進まないこともありましたが、様々な偶然が重なり、浪江町の方々のあたたかさに救われ、こうして一つの作品を作ることが出来ました。制作に協力してくださったすべての方々に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました」

鈴木倫子さん
「初めての1週間を超えるロケで、分からないことや上手くいかないことも沢山ありましたが、この作品制作を通して多くの学びを得ることが出来ました。また、最終的に納得する形で1つの作品を作り上げられたことは、浪江町の町民の皆様、ご指導下さった方々を初めとする全ての関係者の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます」

賞金パネルを持つ受賞者の3人
賞金パネルを持つ受賞者の3人
(向かって左から会津万葉子さん、鈴木倫子さん、新村健一さん)

※文中に記載の学年は2024年2月現在