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慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所について

メディアコム所長(法学部教授)澤井 敦

 

メディア・コミュニケーション研究所は、今からおよそ70年前、1946年に新聞研究室としてスタートしました。その後、1961年には新聞研究所となり、さらに1996年の創立50周年を機に現在のメディア・コミュニケーション研究所(通称 メディアコム)という名称になりました。日本の私立大学のなかでもきわめて長い歴史を誇る慶應義塾大学にあって、メディアコムもまた、長きにわたる歴史と伝統を有する大学附属研究所の一つです。

メディア・コミュニケーション研究所では、専任教員が中心となり他の学内・学外の研究者も参加した共同研究プロジェクトに力を入れています。ジャーナリズム、メディア関連の産業・政策・法律、メディア文化や社会心理などの領域を中心に、常時複数の共同研究プロジェクトが進行しています。プロジェクトは3年単位で実施され、終了後にはその成果を研究書として出版し社会に還元してきました。その数はこれまでに30冊を優に超えています。この他にも研究成果は、研究所が出版する邦文紀要、英文紀要、HP上のオンライン・ジャーナルなどのかたちで公開しています。邦文紀要は1988年から『メディア・コミュニケーション』(それ以前は『慶應義塾大学新聞研究所年報』)として、英文紀要は1980年から『Keio Communication Review』として刊行されています。また近年では、海外の研究・教育機関とも積極的に交流活動を展開しています。

メディア・コミュニケーション研究所は、研究機関としてのみならず、教育機関としてもまた充実した活動を続けています。研究所では、毎年入所試験を実施し、現在では大学2年3年・4年の3学年、合計約200名の学生(研究所では研究生と呼んでいます)が学んでいます。研究所の講義では、大学教員のみならず、新聞・放送・広告・通信などメディア関連業界で実務に携わっている方々を講師として招聘しており、実際のメディア関連の仕事の現状を直接体感できる授業も数多く開講しています。また、一般の方も受講できる公開講座を、春と秋の年2回、メディアの現場で活躍している講師をお招きし開催しています。

研究所は、新聞、放送、通信社、出版、広告などメディア業界で活躍する優秀な人材を輩出し続けています。修了生の中には、著名なジャーナリスト、個性的で優れた仕事をしているジャーナリスト、また、メディア関連企業の経営者となった方もいます。もちろん、すべての研究生がマス・メディアやその関連業界に進むわけではなく、それ以外の業種で活躍する修了生も多数います。ただ、この研究所での真摯な学びの経験、また、教員、研究生、OBOGとの多彩なコミュニケーションから得られた経験は、修了生全員にとって、人生を歩んでいくうえで大きな糧となっているはずです。

従来のマス・メディアが依然として大きな影響力を保ちつつも、インターネットを基盤とした新しいメディアやツールが次々と登場し、私たちの日々のコミュニケーションの様相は、かつてないほどのスピードで大きく変化しつつあります。メディア・コミュニケーション研究所が重視しているのは、このような情報環境の急速な変化の中で、単に情報を収集・整理するだけでなく、それらに対峙しつつ、「自分の考え」をしっかりと立ち上げ、明確に表現する力です。こうした力を培うために、研究所スタッフ、研究生は、互いに切磋琢磨しつつ、日々努力を続けています。