学生応援プロジェクト「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」開催報告

2025-07-16

日本経済新聞社と米コロンビア大ジャーナリズム大学院、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所は、本年6月14日、学生応援プロジェクト「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」を慶應義塾大学三田キャンパスで開催し、ジャーナリズムのあり方について専門家や記者らが意見を交わしました。 約270人の学生らが会場に参加し、約3,500人がオンラインで視聴しました。

主催者あいさつでは、伊藤塾長がビデオ登壇し、報道すべき内容や真実を見抜くには報道する者の直観や経験が重要だと述べ、信頼性の高い情報には対価が必要だと強調しました。

開演のことばでは、コロンビア大ジャーナリズム大学院長のジェラニ・コブ氏が登壇し、偽情報の氾濫や記者への暴力など報道機関は困難な状況にあるが、質の高い情報提供や権力監視の重要性は増している。調査報道など新しい手法も登場する今こそジャーナリズムが躍動する時代だと述べました。

基調講演では、コロンビア大学のマーガレット・サリバン教授が登壇しました。インターネットの台頭で地方紙が衰退し、「ニュースの砂漠」が広がった結果、人々はソーシャルメディアや噂に頼るようになり、政治に参加しない人が増え、民主主義は衰退。報道の自由への圧力が強まる中、報道機関はトランプ大統領との向き合い方に苦慮している。大変な時代であるが、若い世代がジャーナリズムの使命を引き継いでくれると信じていると述べました。

パネル討論では、コロンビア大学のマーガレット・サリバン教授、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所の水谷瑛嗣郎准教授、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)USメディアエディターのアンナ・ニコラウ氏、日本経済新聞社政策報道ユニット長の桃井裕理氏が登壇し、同社コメンテーターの秋田浩之氏が司会を務めました。トランプ大統領の圧力とデジタル化によるジャーナリズムの苦境をどう見るか、日本のジャーナリズムが抱える困難とは何か、そして、疲弊するジャーナリズムの担い手をどのように支えていくべきかといった論点について意見を交わしました。質疑では、参加の学生から次々と積極的に手が上がり、AIの活用、メディアの分極化・信頼性などについて様々な質問があがりました。

討論会総括では、慶應義塾大学法学部の山本信人教授が登壇。今日ジャーナリズムが危機に陥っていることに加え、人々の将来への不安が政治やメディアへの不信を生み、意見の異なる人との対話が困難な状況にあると指摘し、様々な情報源に当たり自分で考えることが大切だと強調しました。

本シンポジウムのアーカイブは、以下の日経サイトより視聴可能です。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT250404002/archive

「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」
「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」
「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」
「トランプとメディア ジャーナリズムを考える」
(写真:日本経済新聞社提供)