慶應義塾大学メディアコム研究生制作のドキュメンタリーが東京ビデオフェスティバル2024で入賞
2024-04-09
老若男女の市民の映像作家たちが競い合う東京ビデオフェスティバル(TVF)で慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所の授業で学生が制作したドキュメンタリーが入賞しました。
東京ビデオフェスティバルは特定営利活動(NPO)法人「市民がつくるTVF」が主催する「市民による市民がつくる映像祭」として知られ、今回で15回目。国内と海外から10代から90代までの市民映像作家が合計98の作品を応募しました。
審査の結果、34作品が入賞作品に選ばれる中、メディアコムの研究生4人が授業で制作したドキュメンタリー「未来の子ども部屋 ~多様な性が紡ぐ家族のかたち~」にTVFアワードが贈られました。

性的マイノリティーとして一緒に暮らす女性カップル(みのりさん、咲希さん)の生活を中心に、男性同士のカップルなどを幅広く取材してLGBTQへの理解がなかなか進まない日本社会で当事者たちがめざす多様な家族のかたちを映像にしました。同作品は女性カップルが未来の子どものために用意している“子ども部屋”を象徴的な希望として描き、同性同士が子どもを持つにも多様な方法が模索されている現状を粘り強い取材でドキュメンタリーにしています。

制作にかかわったのはメディアコムで研究生として学ぶ鈴木倫子さん(文学部3年)、会津万葉子さん(文学部3年)、中島優里さん(法学部政治学科4年)、野尻茉央さん(文学部3年)の4人です。2023年度春学期メディアコムの開講授業「映像コンテンツ制作Ⅰ」で完成しました。
2024年3月末に行われた表彰式では取材や構成、映像編集で中心的な役割を果たした会津さんと鈴木さんがトークセッションに参加。審査員から賞状を受け取りました。
トークセッションでは審査員から「性の多様性をめぐっては当事者ではない人間から見ると少し距離があって理解しにくいところがある。この作品は様々なカップルを取材し最終的には『家族のかたち』に焦点を当てて『(当事者は)家族になりたいのだ』というテーマを浮かび上がらせてタイトルに落とし込んだ着眼点」が高く評価されていました。
鈴木さんや会津さんは毎年春に東京・代々木公園で開催されるLGBTQの祭典・東京レインボープライドに昨年参加して当事者が直面する問題を初めて知ったことを明かしました。映像作品では必ずしも同性婚を押し進めようとしているわけではなく、法律上では現在、「結婚」ができない日本の状況で法律や血縁にとらわれない“家族”をつくろうとする人々の姿を通して“新たな視点の家族像”を示そうと考えたと、ドキュメンタリーの取材を通しての学びについて語っていました。
2人の受賞の弁です。
会津万葉子さん
「この度はありがとうございます。授賞式では高校生から90代の方まで幅広い年代の受賞者の方のお話を聞くことができて、とても刺激的でした。今回選んでいただけたことを糧に、これからも真摯に制作に取り組んでまいります」
鈴木倫子さん
「この度は数ある作品の中から私たちの作品を選んで頂きありがとうございました。授賞式で行われたセッションでは、私たちと同じように映像制作に取り組んでいる方々と意見交換をすることが出来てとても有意義な時間でした。審査員の方々や他の受賞者の方々から頂いたアドバイスや他の方々の作品を参考にしながら、今後も精進してまいります」

「未来の子ども部屋 ~多様な性が紡ぐ家族のかたち~」はFFC学生ドキュメント映画祭でも準グランプリを受賞しています。
「未来の子ども部屋〜多様な性が紡ぐ家族のかたち〜」は以下で視聴可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=gxnTh3oEQvk
※文中に記載の学年は2024年4月現在