2024年度春学期メディアコム公開講座「歴史、物語からジャーナリズムを考える」

2024-07-31

メディア・コミュニケーション研究所は、6月27日、三田キャンパス北館ホールにて、春学期公開講座を開催しました。
講座では、歴史小説で第169回直木賞を受賞した小説家で塾員の永井紗耶子さんが、「歴史、物語からジャーナリズムを考える」というテーマで講演。塾生、塾員、高校生、社会人ら50名が参加しました。

大学入学前から歴史小説家になることを目指していた永井さんは、歴史小説家たちの多くが新聞社や出版社に勤めていたことを知り、大学では、文学部人間科学専攻に所属しながら、メディア・コミュニケーション研究所にも所属し、ジャーナリズムを勉強しました。講演では、ジャーナリズムに向き合いはじめた大学時代の話から、就職した新聞社での記者経験、フリーライターに転身後の取材・インタビュー経験を振り返り、それまでのさまざまな経験が小説創作につながっていると述べました。新聞記者時代に遭遇した「報道されない変死体」への思いをもとに執筆した『絡繰り心中』で新人賞を受賞し、小説家デビュー。取材経験をもっとも小説にいかすことができたという『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』では新田次郎文学賞を受賞しました。直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した『木挽町のあだ討ち』は、ライター時代のインタビューの経験がいきた作品です。
永井さんは、最後に、「どんなに思い込みを排除しようとしても、書き手には主観が入る。自分の主観がどこにあるのか、つねに意識している」と語りました。
講演終了後も、コアなファンや小説家志望の学生などからの質問が続きました。

次回のメディア・コミュニケーション研究所公開講座は、2024年度秋学期に日吉キャンパスで開催します。

「歴史、物語からジャーナリズムを考える」
「歴史、物語からジャーナリズムを考える」
「歴史、物語からジャーナリズムを考える」
「歴史、物語からジャーナリズムを考える」
撮影:竹松 明季